日本アトピー協会は、アトピー性皮膚炎およびアレルギー諸疾患に対して、安心と安全、そして快適と向上を目指す人々の暖かい誠意に基づき組織された団体です。

HOME > アトピー患者の皆様へ > アトピーの治療 > ステロイド・プロトピックについて

アトピーの治療

ステロイド・プロトピックについて

アトピーが奇病のように恐れられた原因のひとつに、一部の人たちが意図的に喧伝した「ステロイド毒薬説」を鵜呑みにし、その使用を忌避するといった「治療放棄」に等しいことを多くの患者さんが行った結果です。医薬品には当然のこととして作用があれば反作用があり、だからこそ医師の指導に従わなければ所期の効果が得られません。ごく常識的なことを曲解したり一人合点したりして拗らせるといったことも最近ではなくなってきました。

ステロイドについて

ステロイド外用薬については多くの誤解があって、一部のマスコミが一部の医師の私見を大きく報道し誤解が定着した経緯があります。
「反対する」ことがファッションのようにカッコよく世間に迎えられる風潮の中で「反対しない」正論は無視され、医学会は長い間それを放置し反論しませんでした。その結果「ステロイドは怖い薬」という幻想を抱く人が増えて「ステロイドに怯えて」さらに「ステロイドを忌避」する方が多くなり、その後遺症は今でも続いています。

ステロイドは怖い薬という誤解

ステロイド薬が使われて半世紀以上の使用実績があり、まず安全な薬といえます。薬ですから「副作用」を伴うのは当然です。しかしステロイド外用薬の副作用に関しては、専門医であれば適切な対応が可能な範囲内での現れ方で、その頻度も高いものではありません。
「ステロイドは副作用があって怖い薬」という話は噂が一人歩きをして拡大解釈され「世論」として定着しました。ステロイドで顔を潰された…という本のタイトルは抜群に巧い表現のキャッチフレーズですが、実態は一方的な「治療放棄」で症状が悪化しただけです。糖尿の患者さんが医師の指示を守らず一方的に「インシュリン」を放棄した場合どうなるのでしょう。喘息の患者さんが「ステロイド吸入」を一方的に放棄したらどうなるのでしょう。見えない影に怯え、また特定の意図をもった人物や団体からの情報操作に踊らされているとしたら…とても幼稚ですね。

ステロイドが体質的に合わない方に

ステロイドが体質的にあわない方は、やはり患者さん全体で少しはおられます。
その方々にステロイド外用薬はいい薬だから使いなさいと奨めるわけにはいきません。非ステロイドの項をご覧ください。

ステロイドの副作用

どんなに優れた薬でも副作用があり、よく効く薬ほど副作用が大きいことは良く知られています。副作用を恐れるあまり薬物療法を忌避するケースはアトピー患者においては著しいのですが、その副作用が「大いなる幻影」だとしたら損失は計り知れません。ステロイド外用薬において本当に副作用ってあるのでしょうか?日本皮膚科学会では否定しています。医学会から異端といわれている方たちの間では副作用があるとしています。真っ向から意見が割れています。ステロイドの副作用といわれているうち主なものは酒サ様皮膚炎、毛細管拡張、ニキビや多毛といった命に関わることの少ないモノ。
しかしながら内服薬の服用はともかくとして外用薬使用の程度では起こりえない見解が多数派です。医薬品に副作用があった場合は厚生労働省は医薬品安全情報をだして注意を促します。ステロイド外用薬に関する安全情報は過去に発表されたことはないようです。

リバウンド

ステロイド外用薬を使用していて使用を止めると「リバウンド」が起こって酷い目にあったと患者さんからよく聞きます。リバウンドって何でしょう?私どもではステロイド外用薬でのリバウンドは明確に否定します。リバウンドは外用薬では起こりえないというのが定説ですが、リバウンドと云われている現象を考えると明らかに外用薬の使用中止による治療放棄以外の何物でもありません。治療放棄すれば症状が悪化するのは当たりまえです。逆にそれだけ効いていたという証です。
よく健康食品業者のリーフレットなどにサイトカインがどうの、インターロイキン2がどうしたのって知ったかぶりでリバウンドを説明しています。なかでもリバウンドを説明するときに副腎機能の回復期間のことが引き合いに出されます。外部からの投与で副腎機能の働きが緩やかとなっていたのが急に止めてその機能が回復する間に免疫障害が起こって症状が酷くなるということですが、それは相当量の内服による話であって軟膏やクリームの含有量程度では起こりえないことという。
患者側の勝手な理屈による治療放棄で引き起こされた症状悪化を巧みに医師側の責任にすり替える手法として「リバウンド」は誠に都合のいいコトバ。リバウンドは医師の指導を拒否した治療放棄によるものと思いませんか?

ステロイド依存症

依存症とはアルコールやコカインなどの医薬品以外の薬物による嗜癖(しへき)に由来するもので、医師の管理下による薬物療法に対しては適切ではありません。糖尿病の方にインシュリンは一生欠かせない薬剤ですが誰も「インシュリン依存症」とは云いません。高血圧症の方は降圧剤を服薬しますが「降圧剤依存症」とは云いません。ステロイド依存症というのはステロイド薬の存在を認めない立場に立ったものの発言です。

ステロイドは一生手放せない薬ではありません

よく一度、ステロイドを塗れば手放せなくなる麻薬のよう…といわれます。リバウンドがあたかも禁断症状のように受け取られています。ステロイド外用薬は症状が出ているときに使う薬でアトピー性皮膚炎は概ね症状はひいている期間が多いようです。出たり引いたりしながら症状が軽くなってゆき、気が付けば消滅していたというケースが一般的です。
時には一時的に症状がぶり返すこともありますが、年齢が加わるとともに酷くなるケースは少なく、ステロイドを一生手放せないというのは無責任な伝聞に過ぎません。

多くの医師はステロイド外用薬をつかって酷い症状を緩和し、それからステロイドを使わない方向で治療計画を立てます。最初が肝心ですのでステロイドを使っている時期に「治療放棄」しないでください。

ステロイド・プロトック評価一覧

ステロイド・プロトピック一覧はこちら

ステロイド外用薬臨床効果評価(5段階評価)

製薬各社のご協力を得て医師の処方されているステロイド外用薬の全容を一覧表にしました。調査時点(平成15年1月調査)から少し月日が経過し、製造や販売中止のものも若干あります。
また統合や合併で社名が変わっている場合もありますが、調査時点での社名で掲載しました。ステロイド外用剤はステロイド骨格を持った基本薬剤に、より安全で吸収効率のいいものにするための別の薬剤を融和させて薬剤設計しますので多くの種類が出回っています。新しい薬剤設計の研究、開発をへて発売される新しいタイプのステロイド新薬を「ピカ新」と称し、一定期間は開発した製薬会社に特権が認められ「薬価」が特許使用権などを買って新薬と同じ薬を製造販売するのが「ジェネリック」で「ゾロ」と呼ばれ薬価は低く抑えられています。
また一般製造業のように相手先ブランドで生産する「OEM方式」のようなものもあって一覧表に見るような多種多様なステロイド外用薬が医師のあいだに出回っています。
なお五段階の薬効のランク付けは便宜上のもので日本だけ、国際基準ではありません。「ステロイド外用薬臨床効果評価」と呼称されますが効果の比較は専門医師の経験則によるものです。また「添付文書」には記載されません。

タクロリムス水和剤軟膏「プロトピック」

プロトピック軟膏は一般名を「タクロリムス水和剤」と呼びステロイド外用薬とはまったく異なった薬理による新薬です。タクロリムスはシクロスポリンとともに移植免疫抑制剤の部類に入るもので1986年に「ストレプトマイセス・ツクバエンシス」というカビの一種の放射菌より発見されました。免疫応答に重要な役割を果たす「サイトカイン遺伝子」の発現を阻害することで免疫抑制の機能をなし遂げるもの。その外用剤化によるアトピー性皮膚炎に対しての炎症抑制効果は早くから期待されていましたが、実現までには多くのハードルをクリヤしければならなりませんでした。

プロトピックはステロイドのStrong クラス

プロトピック軟膏の臨床結果はどのようなものでしょうか。タクロリムスはステロイドとは違って体内で産生されるものではありません。そして大きな特徴は皮膚萎縮をきたさないということ。これは特に顔面での難治性の「アトピック・レッドフェース」、つまり「赤ら顔」と言われている潮紅の強い急性炎症性皮膚炎に著明な効果を発揮します。
専門医の定番治療ではプロトピック軟膏0.1%を顔面に1日2回塗布することとして3日目で改善の兆しが現れ、1週間で著明改善といえるほどの効果が得らるとされています。従って外出がはばかられる成人アトピーの女性には朗報であり、顔面難治性の改善効果が期待できます。
また体内産性物質ではないので全身的副作用の回避といった特徴も大きいといわれます。抗炎症作用は中等度でステロイド外用薬の臨床効果の評価に相当するものとしてプロトピック軟膏はストロングクラスにランクづけされる。
これはデルモベート、ベトネベートまたはリンデロンに相当し、ステロイド忌避の方への代替え選択薬となります。

副作用としての一過性の強い刺激

プロトピック軟膏の使用開始直後には火照り、ひりつき、灼熱感、あるいは染みる感じ等の刺激感を感じたという報告が多くあります。刺激感は分子量の大きさによるもので長引くケースで3〜6カ月と使っているうちに解消されています。
またプロトピック軟膏は臓器移植の際の免疫抑制剤から発展したものですので抗菌作用がなく感染症には極めて脆いという弱点を持っています。また坐そう(ニキビ)が出やすいのも副作用とは云えないほどですが問題が残るります。ただアトピー性皮膚が改善されたからニキビが出てきたという楽天的な解釈もあって、なぜニキビが出てくるのかは説明がありません。ニキビが出る出ないは小さな問題のようですが、容貌へのかかわり合いが大きく対人関係にも影響します。
さらに膿庖や化膿に進行する場合もあってこの辺の事は使用を決意する前に医師に問い合わせてください。

一日に10グラムが許容量

プロトピック軟膏はアトピー性皮膚炎の根治薬ではなく「炎症があるとき」に「炎症があるところに使う」もので予防薬として塗るものではありません。
病気をコントロールする薬と位置付けされ、ダラダラと使うのでなく、「使うと効果があると医師が判断した時」に集中的に使って効果が発揮されます。
なおプロトピック軟膏の最大塗布量は一日10グラムとされていますが使用実績が3年未満ですので断定的なことはいえません。小児用も承認されていますが小児科医によっては否定的なこともあってかかりつけの医師に従ってください。

良いこと尽くめですが懸念材料も多くあります

プロトピック軟膏は免疫抑制剤を発展させた薬剤ですから免疫機能に影響を及ぼす可能性の有無は承認されてまだ3年ですので未知数です。またプロトピックに限らずほとんどの薬剤は長期使用による影響は確かめることができず経験に頼らざるを得ません。このほか幾つかの懸念材料として。

  • 感染症の誘発、免疫力を部分的に抑える設計ですので感染症を併発した場合は使えません。
  • 紫外線による発ガン性に関しては添付文書には明記していますが、程度や頻度に関しての研究はありません。

ラットの段階のみの確認で、紫外線に関しての安全性はオーストラリアほどではありませんが照射が強い日本では懸念が残ります。さらに軟膏を塗ればどれほどの時間、屋内に留まって、どれくらい経過すれば外出できるのか…ということに関して、明確に答えられないようです。従って出勤前に軟膏を塗ってすぐに外出といったことは控えたほうが無難です。なお小児の対しては多くの医師は慎重使用を提案しており、今後学会での論争が活発化しそうな気配です。

Adobe Reader

PDFファイルをご覧になるには、ご使用のパソコンに閲覧ソフトウェアのAdobe Reader(無料)がインストールされている必要があります。上のボタンを押してソフトウエアをダウンロードし、インストールしてください。