日本アトピー協会は、アトピー性皮膚炎およびアレルギー諸疾患に対して、安心と安全、そして快適と向上を目指す人々の暖かい誠意に基づき組織された団体です。

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アトピーの治療

治療薬について

アトピーが奇病のように恐れられた原因のひとつに、一部の人たちが意図的に喧伝した「ステロイド毒薬説」を鵜呑みにし、その使用を忌避するといった「治療放棄」に等しいことを多くの患者さんが行った結果です。医薬品には当然のこととして作用があれば反作用があり、だからこそ医師の指導に従わなければ所期の効果が得られません。ごく常識的なことを曲解したり一人合点したりして拗らせるといったことも最近ではなくなってきました。

ステロイド外用薬について

ステロイド外用薬については多くの誤解があって、一部のマスコミが一部の医師の私見を大きく報道し誤解が定着した経緯があります。
「反対する」ことがファッションのようにカッコよく世間に迎えられる風潮の中で「反対しない」正論は無視され、医学会は長い間それを放置し反論しませんでした。その結果「ステロイドは怖い薬」という幻想を抱く人が増えて「ステロイドに怯えて」さらに「ステロイドを忌避」する方が多くなり、その後遺症は今でも続いています。

ステロイドは怖い薬という誤解

ステロイド薬が使われて半世紀以上の使用実績があり、まず安全な薬といえます。薬ですから「副作用」を伴うのは当然です。しかしステロイド外用薬の副作用に関しては、専門医であれば適切な対応が可能な範囲内での現れ方で、その頻度も高いものではありません。
「ステロイドは副作用があって怖い薬」という話は噂が一人歩きをして拡大解釈され「世論」として定着しました。ステロイドで顔を潰された…という本のタイトルは抜群に巧い表現のキャッチフレーズですが、実態は一方的な「治療放棄」で症状が悪化しただけです。糖尿の患者さんが医師の指示を守らず一方的に「インシュリン」を放棄した場合どうなるのでしょう。喘息の患者さんが「ステロイド吸入」を一方的に放棄したらどうなるのでしょう。見えない影に怯え、また特定の意図をもった人物や団体からの情報操作に踊らされているとしたら…とても幼稚ですね。

ステロイドが体質的に合わない方に

ステロイドが体質的にあわない方は、やはり患者さん全体で少しはおられます。
その方々にステロイド外用薬はいい薬だから使いなさいと奨めるわけにはいきません。非ステロイドの項をご覧ください。

ステロイドの副作用

どんなに優れた薬でも副作用があり、よく効く薬ほど副作用が大きいことは良く知られています。副作用を恐れるあまり薬物療法を忌避するケースはアトピー患者においては著しいのですが、その副作用が「大いなる幻影」だとしたら損失は計り知れません。ステロイド外用薬において本当に副作用ってあるのでしょうか?日本皮膚科学会では否定しています。医学会から異端といわれている方たちの間では副作用があるとしています。真っ向から意見が割れています。ステロイドの副作用といわれているうち主なものは酒サ様皮膚炎、毛細管拡張、ニキビや多毛といった命に関わることの少ないモノ。
しかしながら内服薬の服用はともかくとして外用薬使用の程度では起こりえない見解が多数派です。医薬品に副作用があった場合は厚生労働省は医薬品安全情報をだして注意を促します。ステロイド外用薬に関する安全情報は過去に発表されたことはないようです。

リバウンド

ステロイド外用薬を使用していて使用を止めると「リバウンド」が起こって酷い目にあったと患者さんからよく聞きます。リバウンドって何でしょう?私どもではステロイド外用薬でのリバウンドは明確に否定します。リバウンドは外用薬では起こりえないというのが定説ですが、リバウンドと云われている現象を考えると明らかに外用薬の使用中止による治療放棄以外の何物でもありません。治療放棄すれば症状が悪化するのは当たりまえです。逆にそれだけ効いていたという証です。
よく健康食品業者のリーフレットなどにサイトカインがどうの、インターロイキン2がどうしたのって知ったかぶりでリバウンドを説明しています。なかでもリバウンドを説明するときに副腎機能の回復期間のことが引き合いに出されます。外部からの投与で副腎機能の働きが緩やかとなっていたのが急に止めてその機能が回復する間に免疫障害が起こって症状が酷くなるということですが、それは相当量の内服による話であって軟膏やクリームの含有量程度では起こりえないことという。
患者側の勝手な理屈による治療放棄で引き起こされた症状悪化を巧みに医師側の責任にすり替える手法として「リバウンド」は誠に都合のいいコトバ。リバウンドは医師の指導を拒否した治療放棄によるものと思いませんか?

ステロイド依存症

依存症とは「やめたくても、やめられない」状態になることとされます。代表的なものに、アルコール・薬物・ギャンブル等。医学的定義では、「ある特定の物質の使用に関してほどほどにできない状態に陥る状態」とされています。糖尿病の方にインシュリンは一生欠かせない薬剤ですが「インシュリン依存症」ではなく、現在の治療では必要不可欠な薬剤。高血圧症の方は降圧剤を服薬しますが、これも同様。少し意味合いが違うかもしれませんが、「ステロイド外用薬が体内に蓄積する」との意見があります。蓄積するのであれば毎日2回の外用の必要性も無いように思うのですが。。。これも「依存」と言うのでしょうか?

ステロイドは一生手放せない薬ではありません

よく一度、ステロイドを塗れば手放せなくなる麻薬のよう…といわれます。リバウンドがあたかも禁断症状のように受け取られています。ステロイド外用薬は症状が出ているときに使う薬でアトピー性皮膚炎は概ね症状はひいている期間が多いようです。出たり引いたりしながら症状が軽くなってゆき、気が付けば消滅していたというケースが一般的です。
時には一時的に症状がぶり返すこともありますが、年齢が加わるとともに酷くなるケースは少なく、ステロイドを一生手放せないというのは無責任な伝聞に過ぎません。

多くの医師はステロイド外用薬をつかって酷い症状を緩和し、それからステロイドを使わない方向で治療計画を立てます。最初が肝心ですのでステロイドを使っている時期に「治療放棄」しないでください。

ステロイド外用薬ランク一覧

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ステロイド外用薬臨床効果評価(5段階評価)

製薬各社のご協力を得て医師の処方されているステロイド外用薬の全容を一覧表にしました。調査時点(平成15年1月調査)から少し月日が経過し、製造や販売中止のものも若干あります。
また統合や合併で社名が変わっている場合もありますが、調査時点での社名で掲載しました。ステロイド外用剤はステロイド骨格を持った基本薬剤に、より安全で吸収効率のいいものにするための別の薬剤を融和させて薬剤設計しますので多くの種類が出回っています。新しい薬剤設計の研究、開発をへて発売される新しいタイプのステロイド新薬を「ピカ新」と称し、一定期間は開発した製薬会社に特権が認められ「薬価」が特許使用権などを買って新薬と同じ薬を製造販売するのが「ジェネリック」で「ゾロ」と呼ばれ薬価は低く抑えられています。
また一般製造業のように相手先ブランドで生産する「OEM方式」のようなものもあって一覧表に見るような多種多様なステロイド外用薬が医師のあいだに出回っています。
なお五段階の薬効のランク付けは便宜上のもので日本だけ、国際基準ではありません。「ステロイド外用薬臨床効果評価」と呼称されますが効果の比較は専門医師の経験則によるものです。また「添付文書」には記載されません。

タクロリムス水和剤軟膏「プロトピック」

プロトピック軟膏は一般名を「タクロリムス水和剤」と呼びステロイド外用薬とはまったく異なった薬理による新薬です。タクロリムスはシクロスポリンとともに移植免疫抑制剤の部類に入るもので1986年に「ストレプトマイセス・ツクバエンシス」というカビの一種の放射菌より発見されました。免疫応答に重要な役割を果たす「サイトカイン遺伝子」の発現を阻害することで免疫抑制の機能をなし遂げるもの。その外用剤化によるアトピー性皮膚炎に対しての炎症抑制効果は早くから期待されていましたが、実現までには多くのハードルをクリヤしければならなりませんでした。

プロトピックはステロイドのStrong クラス

プロトピック軟膏の臨床結果はどのようなものでしょうか。タクロリムスはステロイドとは違って体内で産生されるものではありません。そして大きな特徴は皮膚萎縮をきたさないということ。これは特に顔面での難治性の「アトピック・レッドフェース」、つまり「赤ら顔」と言われている潮紅の強い急性炎症性皮膚炎に著明な効果を発揮します。
専門医の定番治療ではプロトピック軟膏0.1%を顔面に1日2回塗布することとして3日目で改善の兆しが現れ、1週間で著明改善といえるほどの効果が得らるとされています。従って外出がはばかられる成人アトピーの方には朗報であり、顔面難治性の改善効果が期待できます。
また体内産性物質ではないので全身的副作用の回避といった特徴も大きいといわれます。抗炎症作用は中等度でステロイド外用薬の臨床効果の評価に相当するものとしてプロトピック軟膏はストロングクラスにランクづけされる。
これはデルモベート、ベトネベートまたはリンデロンに相当し、ステロイド忌避の方への代替え選択薬となります。

副作用としての一過性の強い刺激

プロトピック軟膏の使用開始直後には火照り、ひりつき、灼熱感、あるいは染みる感じ等の刺激感を感じたという報告が多くあります。刺激感は分子量の大きさによるもので長引くケースでもありますが、概ね1〜2週間で使っているうちに解消されています。
またプロトピック軟膏は臓器移植の際の免疫抑制剤から発展したものですので抗菌作用がなく感染症には極めて脆いという弱点を持っています。また坐そう(ニキビ)が出やすいのも副作用とは云えないほどですが問題が残ります。ただアトピー性皮膚が改善されたからニキビが出てきたという楽天的な解釈もあって、なぜニキビが出てくるのかは説明がありません。ニキビが出る出ないは小さな問題のようですが、容貌へのかかわり合いが大きく対人関係にも影響します。
さらに膿庖や化膿に進行する場合もあってこの辺の事は使用を決意する前に医師に問い合わせてください。

一日に10グラムが許容量

プロトピック軟膏はアトピー性皮膚炎の根治薬ではなく「炎症があるとき」に「炎症があるところに使う」もので予防薬として塗るものではありません。
病気をコントロールする薬と位置付けされ、ダラダラと使うのでなく、「使うと効果があると医師が判断した時」に集中的に使って効果が発揮されます。
なおプロトピック軟膏の最大塗布量は一日10グラムとされています。小児用も承認されていますが小児科医によっては否定的なこともあってかかりつけの医師に従ってください。

良いこと尽くめですが懸念材料も多くあります

プロトピック軟膏は免疫抑制剤を発展させた薬剤です。またプロトピックに限らずほとんどの薬剤は長期使用による影響は確かめることができず経験に頼らざるを得ません。このほか幾つかの懸念材料として。

  • 感染症の誘発、免疫力を部分的に抑える設計ですので感染症を併発した場合は使えません。
  • 紫外線による発ガン性に関しては添付文書には明記していますが、程度や頻度に関しての研究はありません。

ラットの段階のみの確認で、紫外線に関しての安全性はオーストラリアほどではありませんが照射が強い日本では懸念が残ります。さらに軟膏を塗ればどれほどの時間、屋内に留まって、どれくらい経過すれば外出できるのか…ということに関して、明確に答えられないようです。従って出勤前に軟膏を塗ってすぐに外出といったことは控えたほうが無難です。なお小児に対しては多くの医師は慎重使用を提案しており、今後学会での論争が活発化しそうな気配です。

(以下 2022年1月改定)
10年に及ぶ長期使用成績調査が終了し、2021年12月再審結果が通知され、添付文書の警告欄に記載されていた「マウスにおけるリンパ腫、皮膚ガンの発現」に関する記載内容が「重要な基本的注意」に改訂されました。通常の使用においては「高い血液中での濃度が長期に続く可能性は極めて低い」ことが、これまでのデータで明らかにされました。また、日本ではこの薬を使用した患者さんでのリンパ腫、皮膚ガンの発生は、これまでみられていません。(2003年9月現在)

ネオーラル®(シクロスポリン)

この薬は、免疫抑制剤と呼ばれるグループに属し、体内の免疫反 応を抑制します。これまでのステロイド外用剤やタクロリムス軟膏などの治療では効果が不十分で、強い炎症(腫れ、痛み)を伴う皮疹が体表面積の30%以上に及ぶ人に使用されます。自己判断で使用を中止したり、増減せず、指示通りに飲み続けることが重要です。 サンディミュン内用液またはカプセルから切り換えてこの薬を使用する人は慎重に使う必要があります。また、活動性の単純ヘルペス感染症がある人は、この薬を飲む前に医師に相談。この薬には併用禁止の薬や注意すべき薬があります。

●使用方法
飲む量は、症状や血中濃度などに合わせて医師が決める。
【アトピー性皮膚炎の場合-成人】
・体重10kg当たり15mg〜25mgを1日2回。 1回の治療期間は12週以内が目安。
・1カ月に1回を目安に血中濃度を測定し、飲む量を調節。(医師の指示した受診日を守ること)

●使用上の注意
・腎臓や肝臓、すい臓に障害が起こることがあるため、頻回に血液検査や尿検査が行われる。
・風邪などの感染症にかかりやすくなったり、感染症が悪化することがある。
・妊婦または妊娠している可能性のある人は医師に相談する。
・授乳を避ける。
・グレープフルーツジュース、セイヨウオトギリソウ含有食品はこの薬の効果に影響するため控える。

デュピクセント®(デュピルマブ)

この薬は、ヒト型抗ヒトインターロイキン(IL)-4/13受容体モノクローナル抗体製剤と呼ばれる注射薬です。 IL-4受容体αサブユニットに結合し、アトピー性皮膚炎や気管支喘息の病態において重要な役割を担うIL-4及びIL-13の働きを抑えることで症状を改善します。ステロイド外用剤やタクロリムス軟膏などによる適切な治療を行っても十分な効果が得られず、強い炎症を伴う皮 疹が広範囲に及ぶ人に使用されます。原則として、アトピー性皮膚炎の部位の状態に応じて抗炎症外用剤や保湿外用剤が継続使用されます。

●使用方法
【アトピー性皮膚炎の場合(成人)】
・デュピクセント皮下注300mgシリンジ・ペンを初回2本、2回目以降は1本。2週間に1回。 通常、16週間使用しても効果が得られない場合は使用を中止することがある。
【鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎の場合(成人)】
・デュピクセント皮下注300mgシリンジ・ペンを2週間に1回1本、症状安定後は4週・1回に変更できる。
・自己注射(ペン)を開始する前には、必ず医師、薬剤師または看護師から自己注射の仕方について説明を受け、「自己注射のためのガイドブック」も参照する。
・使用前に45分以上かけて室温に戻す。
・腹部、大腿部または上腕部に皮下注射し、腹部への注射の場合は、へその周り5cmは避けて注射する。同じ箇所へ繰り返し注射することは避ける。
・皮膚が敏感な部位、皮膚に損傷、打撲や傷がある部位、アトピー性皮膚炎の強い炎症がある部位には注射しない。

●使用上の注意
・この薬の使用によって他のアレルギー性疾患の症状が変化する可能性があり、他のアレルギー性疾患に対する適切な治療を怠った場合、症状が急激に悪化し、喘息などでは死亡に至る可能性もある。この薬の使用中だけでなく、投与間隔を変更した後や使用を中止した後も、医師の指示なく他のアレルギー性疾患に対する治療内容を変更しないこと。
・使用中に全身の痒み、蕁麻疹、喉の痒み、ふらつき、動悸、冷や汗、 めまい、顔面蒼白、手足が冷たくなるような症状があらわれた場合、ただちに医師に連絡する。
・使用期間中は、生ワクチン【BCG、麻疹(はしか)、風疹(ふうしん)、 麻疹・風疹混合(MR)、水痘(みずぼうそう)、おたふくかぜなど】の接種はできない。
・妊娠または妊娠している可能性がある人、授乳している人は医師に相談する。
・注射器が入った外箱に入れたまま、凍結を避けて冷蔵庫(2〜8℃)で保管する。

コレクチム®軟膏(デルゴシチニブ)

ステロイド外用薬等の塗り薬とは異なる機序で作用し、バリア機能を改善させる薬。細胞内の免疫活性化シグナル伝達に重要な役割を果たすヤヌスキナーゼ(JAK)ファミリー(1、2、3及びTyk2)全てのキナーゼ活性を阻害し、免疫反応の過剰な活性化を抑制することで、アトピー性皮膚炎の炎症を抑制します。また、掻破行動(そう痒)及び皮膚バリア機能関連分子の発現低下を抑制します。デルゴシチニブ の強さは、ステロイド外用薬のストロングクラス同程度という評価です。

●使用方法
・成人:0.5%製剤を1日2回塗布。1回に塗る量は5g。(5gチューブ1本)まで。
・小児:通常0.25%製剤を1日2回塗布。症状に応じて0.5%製剤を1 日2回塗布可能。
1回に塗る量は5g(5gチューブ1本)までだが、体格を考慮する。 症状が改善した場合は0.25%製剤に切り替える。 低出生体重児、新生児、乳児及び2歳未満の幼児に対する安全性は確立していない。1回に塗る量は、体表面積の30%までを目安。手のひら1枚が、概ね体表面積の1%の塗布量。

●使用上の注意
・重ねて塗るというより、重症度や状態によって部位ごとに使い分ける方が望ましい。
・タクロリムス軟膏との併用、シクロスポリンやデュピルマブ等の全身療法との併用は、安全性が不明のため原則NG。
・副作用としては最も頻度が高いとされるのが適応部位毛包炎、次いで伝染性軟属腫(水いぼ)などの感染症。
・赤または白の小さな吹き出物やニキビなどがあらわれることがある。
・粘膜や皮膚の傷、ただれ部位、皮膚感染症と診断された部位を避けて塗る。
・妊婦または妊娠している可能性がある方、授乳している方は医師に相談する。

オルミエント®錠(バリシチニブ)

抗リウマチ薬、アトピー性皮膚炎治療剤と呼ばれるグループに属する薬。2017年7月に「既存治療で効果不十分な関節リウマチ(関節の 構造的損傷の防止を含む)」の効能または効果で承認され、2020年 12月に「既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎」の効能または効果で追加承認されました。 ヤヌスキナーゼ(JAK)という酵素を阻害することで炎症や痛みの発現に関わっている複数の物質に作用し、関節リウマチ、アトピー性皮 膚炎または新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)による肺炎の症状を改善します。 ステロイド外用剤やタクロリムス外用剤などによる適切な治療を一定期間受けても十分な効果が得られず、強い炎症を伴う皮疹が広範囲に及ぶ患者さんに使用されます。原則として、アトピーの部位の状態に応じて抗炎症外用剤、保湿外 用剤が継続使用されます。

●使用方法
・飲む量は症状などに合わせて医師が決める。
・成人の既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎。 飲む量及び回数は、4mg・2mg とも1日1回1錠。
・オルミエント錠4mgを使用して効果が認められた場合は2mgの使用になることがある。
・8週間使用で効果が得られない場合は中止されることがある。

●使用上の注意
・免疫反応に関与するヤヌスキナーゼ(JAK)という酵素を阻害するため、感染症にかかりやすくなる可能性がある。発熱や倦怠感、持続する咳などがあらわれた場合は、速やかに主治医に相談する。
・この薬を使用している間は定期的に胸部X線などの検査が行われる。
・ヘルペスウイルスを含むウイルスの再活性化(帯状疱疹など)が報告されている。
・服用中は、生ワクチン【BCG、麻疹(はしか)、風疹(ふうしん)、麻疹・風疹混合(MR)、水痘(みずぼうそう)、おたふくかぜなど】の接種はできない。
・妊娠または妊娠している可能性がある人はこの薬を使用することができない。
・授乳している人は医師に相談する。
・免疫抑制作用が増強されると感染症のリスクが増加することが予想されるので、バリシチニブと免疫調整生物製剤、他の経口JAK 阻害剤、シクロスポリン等の強力な免疫抑制剤との併用はしない。 バリシチニブとこれら薬剤の併用経験はないとされている。

リンヴォック®錠(ウパダシチニブ水和物)

この薬はヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤と呼ばれるグループに属し、 酵素を阻害することで炎症や痛みの発現に関わる複数の物質に作用し、関節リウマチや関節症性乾癬、アトピー性皮膚炎の症状を改善します。  
2020年1月に、既存治療で効果不十分な関節リウマチに対する治療薬として日本における製造販売承認を取得。2021年5月に関節症性乾癬(乾癬性関節炎)の追加承認取得。2021年8月に「既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎」の効能または効果の追加承認を 取得しました。  
ステロイド外用薬やタクロリムス外用薬などによる適切な治療を一定期間受けても十分な効果が得られず、強い炎症を伴う皮疹が広 範囲に及ぶ場合に使用されます。
原則、この薬を使用する時にはアトピーの部位の状態に応じて抗炎症外用剤、保湿外用薬が継続使用されます。自己判断で使用を中止したり、増減せず、指示通りに飲み続けます。

●使用方法
【アトピー性皮膚炎の場合】
・成人:リンヴォック錠30mg・15mgとも1日1回1錠。 7.5mgは1日1回2錠。
・12歳以上かつ体重30kg以上の小児:リンヴォック15mgは1日1回1 錠、7.5mgは1日1回2錠。
成人も小児も、通常、使用開始から12週までに効果が得られない場合は、飲む量の変更または使用を中止することがある。

●使用上の注意
・免疫反応に関与するJAKを阻害するため、感染症にかかりやすくなる可能性がある。発熱や倦怠感などがあらわれた場合には、速やかに主治医に相談する。
・この薬を使用している間は定期的に胸部X線などの検査が行われる。
・ヘルペスウイルスを含むウイルスの再活性化(帯状疱疹など)が報告されている。
・服用中は、生ワクチン【BCG、麻疹(はしか)、風疹(ふうしん)、麻疹・風疹混合(MR)、水痘(みずぼうそう)、おたふくかぜなど】の接種はできない。
・妊娠または妊娠している可能性がある人はこの薬を使用することができない。
・授乳している人は医師に相談する。
・免疫抑制作用が増強されると感染症のリスクが増加することが予想され、本剤と適応疾患の生物製剤、他の経口ヤヌスキナーゼ (JAK)阻害剤、タクロリムス、シクロスポリン等のような免疫抑制剤 (局所製剤以外)との併用はしない。本剤とこれらの薬剤との併用経験はないとされている。

サイバインコ®錠(アブロシチニブ)

この薬は選択的にヤヌスキナーゼ(JAK)1を阻害する低分子化合物で、JAK1が阻害されることで病態生理学的にアトピー性皮膚炎に関与するとされるインターロイキン(IL)-4、IL-13、IL-31、IL-22、胸腺 間質性リンパ球新生因子(TSLP)を含む複数のサイトカイン・シグナルが抑制されると考えられています。
ステロイド外用剤やタクロリムス外用剤などによる適切な治療を一定期間受けても十分な効果が得られず、強い炎症を伴う皮疹が広範囲に及ぶ患者さんに使用されます。
また、原則として、部位の状態に応じて抗炎症外用剤が使用されます。自己判断で使用を中止したり、増減せず、指示通りに飲み続けることが重要です。

●使用方法
・飲む量は症状などに合わせて医師が決める。
・成人及び12歳以上の小児の場合:1日1回100mg(症状などに合わせ1日1回200mgの使用になることもある)
・12週間以内に効果が得られない場合、使用が中止されることがある。

●使用上の注意
・免疫反応に関与するヤヌスキナーゼ(JAK)という酵素を阻害するので、感染症にかかりやすくなる可能性がある。発熱や倦怠感などがあらわれた場合には、速やかに主治医に相談する。
・服用中は、結核感染に注意するため、定期的に胸部X線などの検査が行われる。
・ヘルペスウイルスを含むウイルスの再活性化(帯状疱疹、単純ヘル ペスなど)が報告されている。
・服用中は生ワクチン【BCG、麻疹(はしか)、風疹(ふうしん)、麻疹・ 風疹混合(MR)、水痘(みずぼうそう)、おたふくかぜなど】の接種 はできない。
・妊娠または妊娠している可能性がある人はこの薬を使用することができない。
・授乳している人は医師に相談する。
・免疫抑制作用が増強されると感染症のリスクが増加することが予想され、本剤と適応疾患の生物製剤、他の経口JAK阻害剤、シクロスポリン等の免疫抑制剤(局所製剤以外)との併用はしないようにする。本剤とこれらの薬剤の併用経験はないとされている。

モイゼルト®軟膏(ジファミラスト)

この薬は、PDE4阻害剤という、ステロイド外用剤や免疫抑制外用剤などとは異なる新しい作用を持つ塗り薬です。 PDEは、炎症細胞において炎症を抑えるシグナルを分解し、炎症を増幅してしまう酵素です。PDE4を阻害することで、炎症を抑制するシグナルを上昇させて、アトピー性皮膚炎の炎症と痒みを改善します。自己判断で使用を中止したり、増減せず、指示通りに使用することが重要です。

●使用方法
・塗る量は症状などに合わせて医師が決める。
・成人:モイゼルト軟膏1%を1日2回患部に塗る。
・小児:症状に応じてモイゼルト軟膏1%を1日2回、もしくは0.3%を1 日2回患部に塗る。
・塗る量は、皮疹の面積0.1u当たり1gを目安とする。
・軟膏をチューブから2.5cm(成人の人差し指の指先から第一関節 まで)押し出した量が、
人の手のひら2枚分の皮疹の面積に塗るために必要な量となる。

●使用上の注意
・粘膜、潰瘍、明らかに局面を形成しているびらんなどには塗らない。
・眼の周囲に塗る場合は眼に入らないよう注意する。(眼に入った場合はただちに水で洗い流す)
・妊娠または妊娠している可能性がある人、授乳している人は医師に相談する。
・ステロイド外用剤、タクロリムス水和物軟膏は必要な場合のみ併用可。
全身投与のステロイド剤、免疫抑制剤は併用禁止。JAK阻害剤、ヒト型抗ヒトIL-4/13受容体モノクローナル抗体製剤、光線療法は併用例がなく、密封法及び重層法は検討していないとされている。

ミチーガ®(ネモリズマブ)

この薬は、皮下注用60mgシリンジの注射薬剤です。ヒト化抗ヒトIL(インターロイキ ン)-31受容体Aモノクローム抗体であるネモリズマブを有効成分としています。
IL-31は、痒みを誘発するサイトカインで、アトピー性皮膚炎による痒みの発生に関与していることが報告されています。
この注射薬は、 IL-31とその受容体の結合を阻害することで、アトピー性皮膚炎の痒みに対する抑制作用を示します。痒みによる悪循環を遮断することで皮膚症状も改善し、患者さんのQOL向上が期待されます。
ステロイド外用薬やタクロリムス外用薬等の抗炎症外用薬及び抗ヒスタミン剤等の抗アレルギー剤による適切な治療を一定期間施行しても、そう痒を十分コントロールできない患者さんに投与すること。また、そう痒が改善した場合も含め、本剤投与中はアトピー性皮膚炎に対して必要な治療を継続すること。

●使用方法
・通常、成人及び13歳以上の小児には、1回60mgを4週間の間隔で投与する。
・本剤投与開始後に経口ステロイド剤を急に中止しないこと。
・医師の管理の下、行うこと。
・妊婦または妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

●使用上の注意
・13歳未満の小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
・主な副作用として、皮膚感染症(ヘルペス感染、蜂巣炎、膿痂 疹、二次感染等)があらわれることがある。
・重篤な過敏症としてアナフィラキシー(血圧低下、呼吸困難、蕁麻疹等)があらわれることがある。 

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