日本アトピー協会は、アトピー性皮膚炎およびアレルギー諸疾患に対して、安心と安全、そして快適と向上を目指す人々の暖かい誠意に基づき組織された団体です。

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知って得する情報

カビについて

アレルギーを持っている方やお肌の弱い方にとってカビはダニよりも手ごわい相手、生息する温度範囲は非常に広く、氷点下でも沸点に近い90度でも生息できる種類もあり、約7万種が地球上で生息しています。室内には青カビや黒カビ、ほこりカビなどおよそ360種ほどが生息し、その胞子が室内に浮遊しています。アルミサッシなどで住宅全体が密封状態となり空気のよどみができやすく高温多湿がいっそう促されカビの繁殖には好都合となります。さらにエアコンを使ったり炊事をしたりするため壁面などに「結露」ができやすくまさにカビ天国。屋内のあらゆる場所に「コロニー(カビ=真菌株の集合体)」を作ります。見つけ次第、拭き取るようにしてください。

カビ

カビが生息する温度範囲は非常に大きく、氷点下でも沸点に近い90度でも生息できる種類もあり、約7万種が地球上で生息しています。
細菌は加熱で死滅しますがカビは加熱にも耐え、また乾燥時には胞子の状態で休眠することができます。このあたりはウイルスによく似ていますが、なかなか手ごわい相手です。

とても大きなカビの恩恵

細菌は加熱で死滅しますがカビは加熱にも強く、また乾燥時には胞子の状態で休眠することもできます。カビは私たちに豊な食生活も提供してくれています。パンもお味噌も清酒やワインやビールにチーズ、納豆・・・数え切れないほど。さらに抗生物質の殆どはカビが関与し私たちは微小なカビからとても大きな恩恵も受けています。そんなカビを正しく理解して家の中でカビと共存する方法を学んでください。

カビのここが悪い影響を与えます

呼吸によってカビの胞子が体内に入ってアレルゲンになったり、あるいは肺胞内で繁殖し病気を引き起こします。とくに肺アスペルギルス症は重い病気で、いったん肺の中でカビ(真菌類)が繁殖しますと執拗でなかなか排除できません。
カビ(真菌類)が引き起こす病気でもっとも一般的なのは足白癬症(水虫)、爪白癬症でなかなか厄介です。また口内で繁殖したり女性の場合はいやなところにカビ類(カンジタ菌)が取り付き悩まされます。体内環境はカビ類にとっては快適な場所ですので真菌症としていろんな臓器内で病気を引き起こします。

住宅の中では360種ほどが生息しています

高温多湿の日本の夏はカビにとっては天国、お掃除を怠るとあっという間にカビまみれ。アルミサッシが普及し住宅の密閉化は進み。さらに外気を取り入れずエアコンだけで温度調整をするため、壁面はつねに「結露現象」で濡れた状態です。以前は水まわりだけをチェックしておけばカビの繁殖は防げたのですが、今はあらゆる場所にコロニーを作ります。見つけ次第、拭き取るようにしてください。掃除機をかけて吸い込むことも可能ですが、掃除機本体の後部にある排気口からばらまくことになり逆効果。したがってカビは固く絞った雑巾で拭き取るのがいちばん確実。そのあとにエタノール(消毒用アルコール)で拭いておくとさらに安心です。

カビの発生を防ぐ。カビをはびこらせないための注意点。

  • 月に一度の割で定期的な大掃除を行いカビの発生や発育の余地を与えないように常に心がけてください。
  • 室内の湿度は夏冬にかかわらず40〜60%の湿度維持を目安としてください。
  • ホコリの中には必ずカビの胞子が含まれていると思ってください。室内の浮遊真菌数(カビ)は標準値で1立方メートル当たり12個。空気清浄機を使うと6個内外にまで低減出来ます。
  • 室内には一日に3〜5リットルもの水分が常に湿気として存在しています。また呼吸による水分放出も大きく人が居るだけで湿度が上がり換気が大切です。
  •  エアコンはカビ天国、とくにシロッコファンという筒状の回転羽根に好んで繁殖します。フィルターの効果を高めるためにマイナスイオンやカテキンなど防菌や防カビの効果効能を宣伝する前段階で、すでにカビに汚染されているケースもあります。宣伝文を鵜呑みにせずにお部屋に見合った空調をお考えください。
  • 結露は必ず拭き取るようにしてください。また結露がつかない工夫も大切です。除湿機などを活用してください。
  • 冬の話になりますが、じか焚き暖房機(石油ストーブなど)は使用した燃料と同じ量の水分を蒸散させているとお考えください。
  • 部屋ごとに温度差があるとその境目に湿気が発生します。
  • 出窓など結露するところには必ずカビが発生します。
  • 北側に寝室がある場合は結露が著しく北側の部屋を寝室とするのは要注意。
  • 壁クロスなどがめくれている原因は結露がほとんど。よってカビが生息しています。
  • 窓ガラスに触れるカーテンなどもカビが発生しやすいところです。
  • ブラインドウなどの上もカビが生息しやすいところです。
  • まな板や台所のコーキング(防水のための目貼り処理)をしたところなどにも発生します。
  • 洗濯機の回転漕もカビ大量発生場所です。洗濯後は水気が残らないように念入りにカラ拭きしてください。
  • 浴室・脱衣場・台所など圧倒的に水回りの場所にカビが多いのでこまめに点検。
  • カビはもともと土の中で生息するもので室内の観葉植物や植木鉢などは最適の繁殖環境。
  • 衣服や小物などが散らかっていると湿度を吸ったりしてカビには最適な環境です。
  • 押入れの中は湿気が溜まりやすいので木炭竹炭やスノコや除湿機で湿気対策を。

カビを発生させない計画換気のすすめ

  • 空気のよどんだ所にカビは発生しますので、空気のよどみをつくらないことです。つねに計画的に換気を行なってください。
  • 1時間あたり1回、全面的に空気が入れ替わるよう換気扇をこまめに使う。
  • 換気経路をはっきりさせ、空気の「出口」〜「入口」の経路をつり「風が抜けやすい」工夫をする。
  • 換気扇を効果的に配置し,使う時は「空気の入口」を確保してください。密閉のままでは空気をかき混ぜるだけ
    となりカビを拡散させるだけです。
  • 建具などにアンダーカット(空気の通路)などを施して通風性を高めてください。
  • 室内に出来るだけ洗濯物を干さない。また浴室などの湯気が移動しないように気をつける。
  • 階段ホールなどは熱ダマリとなりやすいので、熱がこもらないように風を取り入れる工夫をしてください。

カビが引き起こす病気

足白癬
カビが引き起こす病気で一番身近皮膚の病気が「水虫」、正しい名前は「足白癬」といいます。アトピーほどではありませんが、悩みを持った患者さんが多く、またこれといった特効薬がなく、市販薬ではなかなか治りにくく難治化しています。酷くなったり症状が出ていなかったりでアトピーに似ていますがアトピーと決定的に違うところは感染することです。アトピー同様、治りにくいことで治療放棄するケースが多いそうですが、こまめなフットケアでコントロールは可能ということです。なお爪に取り付くのが「爪白癬」でこれは痒くてかなり厄介なことになるそうです。

スポロトリクム症
ミズゴケや、またバラの木に特異的に付着しているスポロトリクス・シェンキイという腐生性糸状菌によるもので園芸家や庭師がよく罹る病気です。片方の腕や足が異様に膨らみ、赤く腫れてやがて潰瘍を起こす嫌な皮膚疾患で、敗血症を引き起こすと死に至りますが、早期発見早期治療で完治する対応しやすい真菌症だそうです。バラ愛好家はご注意とのこと。

肺アスペルギルス症
麹菌として知られる有用なカビ「アスペルギルス属」の中で「フミガースツ」という真菌が肺に入ることで日和見的に引き起こされる肺炎で、重い場合は呼吸困難となります。アスペルギルスは空気中に普遍的に見られるカビでエアコンのダクトや噴出し口を通じて室内に拡散されます。長期の病気療養やステロイド薬を常用している方に取り付くことが多く、たいていはセキやタンが激しく出て病気に気付きます。適切な治療で完治します。アトピーの方でステロイド内服の方は要注意です。

クリプトコッカス症
カビが引き起こす最も恐ろしい病気でハトの糞中に含まれる「クリプトコッカス・ネオホルム」と言うカビが引き起こす病気です。このカビによるクリプトコッカス髄膜炎はとても恐ろしい病気で、肺炎から髄膜炎に移行すると致死率がきわめて高くなり、体力が弱ってきた老人や、体力がまだ備わっていない乳幼児を襲います。可愛いからといって無防備に近づくと危険です。ハトにはくれぐれもご用心。なおハトは集団で行動し、いっせいに飛び上がる際に「糞」の微細片を巻き上げこれを吸い込むと危険です。赤ちゃんを乳母車に乗せてハトの群れの中に押し入れることは極めて危険な行為ですので直ちにおやめください。

カビかびイロイロ

麹カビ=アスペルギルス
家屋内で一番多く見つかるカビはアスペルギルス属のカビで190 種ほど知られています。善玉としては「コウジカビ」があり「アスペルギルス・オリーゼ」と呼ばれ醸造分野でなくてはならない有用な働きをしています。悪玉はピーナツに寄生してアブラトキシンという強い毒素を出す「アスペルギルス・フラバス」という恐ろしいカビがあり、また肺炎を起こすクロカビ=アスペルギルス・ニガーも油断できないカビです。

青カビ=ペニシリウム
ペニシリンが青かび研究の過程でフレミングによって発見されたには有名な話です。約290 種ほどが知られています。この種類のかびからペニシリンのほかに多くの抗生物質を生み出してきました。成長は比較的緩やか、乾燥に強いかびです。屋内のカビでは割と共存できますが乾燥時の胞子の飛まつは曲者です。

浴室カビ=クラドスポリウム
一般家庭の8割方で見つかり、とくに浴室のタイルの目地や壁面、天井などに茶褐色や灰色のシミを作ります。湿度の高い条件下では1億〜40億の胞子をつけているので、退治するには厄介です。喘息やアトピー性皮膚炎の原因となり何はさておいても退治すべきかびです。市販の多くの防カビ剤はこのかびが対象。しかし防カビ剤だけに頼ることは禁物。しつこいカビを殺すのですから相当にきつい薬剤を使っている証拠、カビが怖いか殺カビ薬品が怖いかの選択となります。

すすカビ=アルテルナリア
脱衣場の壁や台所の流し台の裏側などに煤けたようなホコリのような状態で普通に見かけられます。胞子が大きく離れやすいので空気中に多量に浮遊し喘息や気道炎を起こします。また発ガン物質作りますので少し注意をしなければなりません。なお麹カビ、青カビ、浴室カビとこのすすカビが家屋内で繁殖するカビのほとんどを占めています。

赤カビ=フザリウム
エアコンのファンやフィルターなどに好んで繁殖するカビです。湿度90%もの高いところであれば金属の上でも繁殖、とくにペンキを塗ったところなどに毒々しいピンク色をして繁殖するものもあって、木でも鉄でも塗装が古くなったところを好みかなり目立ちます。カビ毒のトリコテセンで食中毒を起こす事でも知られています。ビニールレザーやウレタンの中でも繁殖し、これらを劣化させてしまう厄介な一族です。

くもの巣かび=リゾーブズ
くもの巣のような状態で繁殖し、すぐに壊れやすく胞子が飛散します。野菜や穀物などを腐敗させ、また観葉植物にも取り付き根を腐らせます。アレルギーの方には観葉植物を室内に持ち込むことは控えましょう。

毛カビ=ムコール
ラテン語でカビをあらわすことばムコールはまた恐怖の病名にもなっています。カビの中では随一の成長率で吸気により鼻粘膜に取り付いたムコールは快適環境下でぐんぐん成長し、鼻から目に、目から脳へと冒し、ついには脳障害を引き起こす怖いカビです。といっても糖尿の方、腎臓障害をもった方以外に取り付くことは滅多にないそうですが体力が弱ってくると日和見的に発症します。薬物治療を拒否しジュクジュクで寝たきりの「隠れアトピー」の方には要注意。

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