日本アトピー協会は、アトピー性皮膚炎およびアレルギー諸疾患に対して、安心と安全、そして快適と向上を目指す人々の暖かい誠意に基づき組織された団体です。

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知って得する情報

ダニについて

現在地球上には4万種にも及ぶダニが生息しています。日本には約1700種の固有種がいてほとんどのダニは人とのつながりがなく森の中で落ち葉を肥料に変えるなど環境に有益な働きをしています。森林では1平方メートルあたり約10万というダニが生息していると一般的な住宅の中でも地方都市の人口ほどのダニが生息していてダニのいない家なんて存在しません。躍起になってダニ退治…、ダニゼロにするのは不可能と思われます。

多くは有益、わずかなダニが憎まれ役

ダニはとても有用な生物でダニがいなければ森や林の木々は枯れてしまいます。また人知れずカビ退治をしてくれています。従って人に危害を与える「害虫」は何万種というダニの中で十指で数えられるほど。その中で顕著に害を与えるのはアレルゲンとなる「コナヒュヒダニ」と「ヤケヒョウヒダニ」、そして疥癬を引き起こす「ヒゼンダニ」、熱帯チフスとされるツツガムシ病を起こす「ツツガムシ」、同じくウイルス性のライム病を起こす「マダニ」、吸血されると不快ですが特定の感染症には関与しない「イエダニ」と「ワクモ」、そして実害はほとんどありませんが老若男女、美男美女の顔にも必ず寄生している「デモデックス=ニキビダニ=毛包虫」です。これ以外はお互いに無視できる虫とか…。

お肌の弱い方には大敵のダニ

1−コナヒョウヒダニ
乾燥に強く北米、東欧、韓国と中国北部など内陸的な気候の国々で猛威を奮っています。最近のヒートアイランド現象で都市部に多いのく、比較的乾燥した集合住宅に生息し、マンションなどでは高層階では優越しています。配合飼料や食品にも付着しています。住居内のダニは圧倒的な割合でヒョウヒダニが繁殖しています。

2−ヤケヒョウヒダニ
コナヒョウヒダニとともに地球規模で住環境に分布しているアレルゲンの元凶。ヤケと冠が付いていますがある程度の湿度を好みます。わが国をはじめヨーロッパや東南アジアで優越しています。木材を多く使う在来工法の住居に多く生息、また寝床にはほとんどヤケヒョウヒダニが優越。なおコナとヤケはほとんど見分けられないほどで大きさもほぼ同じ。動物の毛などにも付着しペットには要注意です。

ダニの発生を防ぐには

  • 定期的な大掃除を行いダニやカビの発生や発育の余地を与えないようにすること。
  • 室内のチリやホコリの中にはダニ類が必ず生息しています。お掃除がいちばんです。
  • 家具や敷物の中はダニ類には快適。家具は少なめに、また敷物は使わないほうが無難です。
  • 寝具は適度な保湿保温があってダニには天国。こまめに天日干しをしましょう。
  • 寝具に掃除機をかける場合の目安は片面1分程度でそれ以上かけても効果は上りません。
  • 日干しによるダニ駆除効果は20%前後ですので晴天続きなら毎日、日干しをしてください。
  • 家具の後ろ側はアダプターなどを使ってこまめにホコリを吸い取ってください。
  • 照明器具の中にもダニは繁殖。傘をだけでなく安定器のホコリもとりましょう。
  • 枕もダニにとって快適環境。タオル一枚を被せるだけ防ダニ効果があるようです。
  • 枕カバーの洗濯はこまめに、また内部のクッション材には神経質になってください。

ダニだにイロイロ

コナヒョウヒダニ
アトピーや喘息の方にとっては憎っくき敵、といっても体長0.3ミリ前後の彼らの脳ミソではなぜ敵なのかは知る由もない筈。乾燥に強く北米、東欧、韓国と中国北部など内陸的な気候の国々で猛威を奮っています。最近のヒートアイランド現象で都市部で悪さをするのはコナの方で、ヤケと冠のつく方はコトバとは反対にある程度の湿度を好むという。コナヒョウヒダニは比較的乾燥した集合住宅に生息し、特に高層階では優越しています。配合飼料や食品にも付着しています。住居内のダニは圧倒的な割合でヒョウヒダニが繁殖しています。

ヤケヒョウヒダニ
コナヒョウヒダニとともに世界的に住環境に分布しているアレルゲンの生産者。最近では生殖腺から分泌する物質がアレルゲンとされる説が有力です。コナに比べてやや湿潤な環境を好みわが国をはじめヨーロッパや東南アジアで優越しています。比較的湿潤な在来工法の住居に多く生息、寝床には圧倒的に多い。なおコナとヤケはほとんど見分けられないほどで大きさもほぼ同じ。動物の毛などにも付着しペットには要注意です。

ヒゼンダニ
ヒゼンダニはやや大形のダニで生息期間は8週間前後、皮膚の角質層内で繁殖します。若虫、成虫となるのに約3週間、それ以後産卵しながら皮膚の角質層にトンネルを掘りながら移動しますが、そのスピードは1日に5ミリ前後でこれが猛烈な痒さの原因。疥癬は細菌によって伝染はしませんが、疥癬患者の皮膚から脱落した落屑の中のヒゼンダニが新しい寄生主を求めて別人に取り付くことで感染します。また一度取り付かれると繁殖力が旺盛なことから爆発的に増え、集団発生の危険性が常にあります。

イエササラダニ
体長0.24ミリ、コナやヤケよりも小さく人に噛み付くことはありません。主にカビを食べる土ダニの仲間。ただカザリヒワダニとともに住宅内で繁殖しますので吸引するとアレルゲンとなるという説もあります。

カザリヒワダニ
もともとは土の中にいるダニですが屋内に持ち込まれる観葉植物などに付着して住居内の土のある部分で繁殖し始めました。一応は無害とされていますがササラダニの仲間はカビを食べる仲間で観葉植物の根に悪さをし枯らしてしまうこともあるそうです。

ワクモ
クモと名前が付いていますがダニの仲間です。ダニの分類は主に「気管系」の形から7つに分類されていて、「中気門類」と分類されるワクモの仲間にはサシダニもいて動物に寄生して吸血します。ワクモは本来なら鳥に寄生しますが、何かの事情で誤って人に付着し吸血し悪さをします。鳥がペットの場合は接触に用心してください。

イエダニ
名前のごとく家屋内に普通に見られるダニですが寄生主はネズミです。ネズミが健康な間はネズミの血を吸って繁殖しますが、ネズミが死ぬと生存をかけて他のネズミに取り付かなければなりませんが、このときにたまたま人が近づけば人が標的となります。死んだネズミには近寄らないことが何よりの予防です。

マダニ
山野を歩いていてマダニに取り付かれて吸血されるとなかなか取れません。喰らい付いたら離れないということで「街のダニ」という比喩が生まれたのでしょうか。しかし本来は街中には生息せず、住居内にもあまり侵入してきません。ただライム病などウイルス性の病気を媒介しますので山野を歩くときは注意が必要です。

ツツガムシ
道中無事を祈願することば「つつがなしや?」の語源となったダニです。山野に生息し住居内で見かけることは先ずありません。平安時代からの旅人泣かせのダニで幼虫がリケッチア性の熱帯チフス「ツツガムシ病」を媒介し高熱と頭痛と皮膚症状があらわれた後、肺炎を併発、死亡率はきわめて高かったようです。昆虫学者の佐々 学博士によってツツガムシの生態とツツガムシ病の関係が解明され現在では発症も少なく死亡例はないということです。インドではまだ撲滅に至らず拡がる傾向にあるとされています。

デモデックス(毛包虫)
アポロが月に着陸したころ、人以外にアシのある動物も月にいったんだよ…と研究者の間でナゾかけが流行ったほど人の顔に普通に見られるダニです。ニンジンの首の部分に8本の短い脚がついたような形でずんぐりむっくりのダニの形からすればきわめて異端、体長は0.4ミリ、幅は0.04ミリで皮膚の毛包部に寄生し一生を過ごします。幼児以外のすべての人に寄生し、女性の場合は化粧品の油脂分を栄養として繁殖し、ほとんど無害とは云うもののニキビや湿疹の原因となります。とくに中年以降の女性でニキビが出るはずはないのにニキビが出た場合はこのダニが犯人といわれていますが退治は出来ません。なおデモデックスの有害性は海外の研究者からの報告と云われますが、わが国で皮膚科医の安藤仁平先生がすでに1921年にニキビや湿疹の原因であると報告されています。

サトウダニほか
黒砂糖やドライフルーツなどに普通に見られるダニで脂肪酸の生じる食べ物を好みます。味噌などにも湧くように繁殖することがあります。また別の種類ですがチーズや削りカツオ、青海苔などで繁殖するダニもいてコショウや七味唐辛子の中にはごく普通にダニが生息しています。食しても大丈夫です。なお最近は乾燥酵母が健康食品として持てはやされていますが、酵母はダニの大好物、ヒョウヒダニを研究のために飼育する場合の餌は乾燥酵母ということです。

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