日本アトピー協会は、アトピー性皮膚炎およびアレルギー諸疾患に対して、安心と安全、そして快適と向上を目指す人々の暖かい誠意に基づき組織された団体です。

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アトピーの治療

アトピー小史

新しい病気とされているアトピーですが明治時代に薬剤監として活躍し「担架」の発明や玄米礼賛で知られた石塚左玄も思春期から強烈な痒さに悩まされ、どうやらアトピーだったらしいと推測され、また江戸時代の医学文献に「雁瘡(がんがさ)」ということばがしばしば登場しアトピーではないかと云う説もあります。病気の歴史を調べる学問は「医史学」と云いますが、研究結果によっては意外と古くから存在していたかも知れません。

アトピー小史

アトピー性皮膚炎は古くからあったという説、いや環境の複合汚染によって現れた新しい病気という説、さまざまな意見があります。医学の歴史を研究する学問を「医史学」といいます。皮膚科領域の研究はまだまだ手付かずでこれから医師の方々によって編纂されると思います。肖像画からナポレオンは痛風持ちだったとか徳川家康が鯛の天ぷらでお腹をこわして亡くなったと云ったような文献や言伝えを医師の目で検証したり、ミイラを解剖して死因を探ったりし現在ではかなり解明が進んでいます。
またヨーロッパでペストの蔓延したことで神の救済に疑いを持ち「ルネサンス」が花開いたという説もあって病気と歴史の関係は興味深いものです。
そこで雑学としてアトピー小史をまとめてみました。追加項目や間違った記述がある場合は教えてください。

BC63〜 ローマ皇帝アウグストゥス(Augustus/別称カエサル・オクタヴィアヌス)が湿疹や喘息・鼻炎で悩んだと伝えられアトピー性疾患と推定されている
1800頃 江戸時代の文献に雁瘡という皮膚病が記載され、雁が去る頃に病状が悪化し雁が帰ってくる頃に病状が安定するとの事でアトピー性皮膚炎ではないかという研究もある
1820 ヘブラーが皮膚の病気に関する大綱を発表
1892 ベニエー(Besnier)が乳児期湿疹に注目し詳細な記述を残す、後にベニエー痒疹と名付けられる
1895 オリヴァーとシェファーが副腎エキスにより強い血圧上昇作用のあることを発見(アドレナリン)
1923 コカ(Coca)が人類に特有に遺伝するアレルギーということでアトピーという概念を導入
1932 ロスト(Lost)アレルギーのないクリーンな部屋に入れると湿疹が治ることを報告
1933 サルツバーガー(Sulzberger、ザルツ…とドイツ読みにする事もある)がアトピー性皮膚炎(AtopicDermatitis/AD)の病名を命名
1936 ウインターシュタイナーとケルダンにより牛の副腎よりコルチゾンの抽出に成功
1937 ライヒシュタインによりコルチゾンの構造が解明される
1947 コーク(Cooke)が内因性接触アレルギー説を発表
1949 タフト(Taft)がアトピー患者はゴミに過敏であることを報告
1950 この頃、アトピー性皮膚炎の病名がわが国に紹介
1951 ティッシュらにとってコルチゾンの合成に成功
1952 ザルツバーガー(Sulzberger)がステロイド軟膏を開発
1953 Rウッドワードによって天然ステロイドの全合成がなる
1960 クーブス(Coombs)とゲル(Gell)がアレルギー反応の4タイプを提案
1964 花粉症が現れスギ花粉によるものとの説が有力となる
1965 シャノン(Shanong)金属アレルギーに起因する仮性アトピーの発見
1967 石坂公成教授がIgEを発見、アレルギーの概念が確立される
1962 新聞報道でアトピー性皮膚炎が初めて紹介される(朝日新聞)
1969 昆虫学者スピークマスがアトピー性皮膚炎のダニ起因説を発表、宮本昭正医師もダニ起因説を述べる
1972 スエーデンのヨハンソン(Johanson)アトピー患者のIgEの高数値を追求
1974 丹羽医師が土佐清水病院の前身、貝ノ川診療所を開設
1975 京都大学の太藤重夫教授と上原正己医師がアトピーは接触アレルギーではないかとの説を発表
1978 アサートン(Atherton)等が牛乳、卵と小児アトピーとの関連性を報告
1979 第一回国際アトピー性皮膚炎シンポジウム開催、ハニフィン(Hanifin)とライカ(Rajka)が診断基準を提示
1984 ロバーツ( R o b e r t s ) R A S T 反応( R a d i oAllergosorbent Test)を開発
1985 ミッチェル(Micher)と吉田彦太郎教授、ダニによるアレルギー起因を追認
1986 オランダのコーメン(Courmenn)が白血球の特定種にIgEの存在を発見
1987 国際皮膚科学会シンポジウムでアトピーが急増しているとの報告
1990 アメリカ皮膚科学アカデミー(AAD)がアトピー性皮膚炎の診断基準を発表
1995 大阪府にてアトピー性皮膚炎に関する総合的な調査を実施
1996 木村彰宏医師ほか小児科有志医師による兵庫食物アレルギー研究会が発足
1996 青木敏之医師ほか皮膚科有志医師によるアトピー性皮膚炎症例検討会が発足
1998 深谷元継医師ほか有志医師と主に建築関係者による名古屋アトピー環境研究会発足
1998 竹原和彦医師を委員長にアトピー性皮膚炎不適切治療健康被害実態調査委員会発足
1999 竹原医師ほか有志医師と記者によるアトピーメディア研究会発足。アトピー報道のありかたを研究
2000 厚生労働省がアトピー性皮膚炎標準治療ガイドライン作成
2001 日本皮膚科学会がアトピー性皮膚炎標準治療ガイドライン作成
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